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インバウンド対応 大型施設

訪日消費が過去最高を更新する今、ホテルテナント区画フロアはなぜ「機会損失」になっているのか

インバウンド消費が過去最高水準に達した今、ホテル館内に何が起きているか

2024年に日本を訪れた外国人旅行者は3,687万人に達し、消費総額は約8.1兆円と、いずれも過去最高を更新しました(JNTO・観光庁)。

訪日旅行者の消費行動も変化しています。家電や化粧品を大量に購入する「爆買い」から、体験・文化・工芸品といった「本物との出会い」へと関心が移っています。複数回にわたって来日するリピーターや富裕層においては、この傾向が特に顕著です。

こうした変化を踏まえると、ホテルは他のいかなる商業施設とも異なる優位性を持っています。宿泊客は数日間にわたって同じ建物に滞在し、**一定の時間と場所を共有します**。この条件を活かすことで、ホテルの館内空間は単なる通過点ではなく、ゲストにとって意味のある消費・体験の場になり得ます。しかしながら、その潜在的な価値が十分に活かされていないホテルも少なくありません。

 多くのホテルで、テナント区画が時代と乖離している

首都圏・主要観光地を問わず、ホテルのテナント区画を観察すると、50年近く前の建設当初から構造が変わっていないケースに多く出会います。

ホテルが建てられた当時、主要な宿泊客は日本人のビジネスパーソンや国内観光客でした。その時代のニーズに対応して設けられた婦人服ブティックや宝飾品店、インテリアショップなどが、現在もほぼそのままの形で営業を続けているケースは珍しくありません。

一方、現在の都市部ホテルでは、宿泊客の多くが外国人で占められるケースも増えています。訪日旅行者が日本の文化や本物の工芸品に関心を持ち、積極的に消費行動をとっている一方で、館内のショップが50年前の品ぞろえのままでは、ゲストのニーズとの間に大きな乖離が生じます。結果として、**ゲストが館内で費やすはずだった時間と消費が、ホテルの外へと流れていくことになります**。

テナント区画が「後回し」になる構造的な理由

この問題が長年にわたって見過ごされてきた背景には、ホテルの収益構造があります。

ホテルの売上は客室稼働率に大きく依存しています。稼働率が数ポイント変動するだけで損益に直結するため、経営上の関心と投資は自然と稼働率向上に集中します。それに比べて、テナントからの賃料収入がホテル全体の収益に占める割合は限られており、テナント区画のリニューアルは優先度が上がりにくい構造になっています。問題意識はあっても対応策が見当たらず、結果として現状維持が続く——多くのホテルで共通して見られる状況です。

テナント区画がゲスト満足度とブランドに与える影響

テナント区画はホテルの収益に直接影響しないと考えられがちですが、**ゲスト満足度とブランドへの影響という観点では見過ごせない要素です**。

宿泊客はチェックインやチェックアウト、朝食など、滞在中に必ずロビーやテナント区画フロアを通ります。その際に目にする館内の空間は、ホテル全体の印象形成に影響を与えます。客室のクオリティやフロントのサービスが高水準であっても、館内ショップの時代遅れな品ぞろえはゲストの期待値を下げる要因になり得ます。

また、訪日外国人はGoogleマップやTripAdvisor、SNSを通じてホテルの体験を積極的に発信します。館内で印象的な体験をしたゲストがその内容をレビューに書くケースは少なくなく、それが新規ゲストの意思決定に影響するという流れも生まれています。テナント区画は、稼働率を動かすゲスト満足度・口コミに対して、実質的な影響力を持っています。

ヒルトン東京ベイにおけるインバウンドショップの導入事例

こうした課題に対して、具体的な取り組みを行っているのがヒルトン東京ベイです。

同ホテルでは2026年、1Fの一角にインバウンド向けショップを導入しました。コンセプトの核にあるのは、一般的な“なんとなくJAPANのお土産店”を脱却し、買い物そのものを文化体験にする、という考え方です。

着物、抹茶、折り紙、日本語、浮世絵、金継ぎ、伝承玩具…という訪日外国人に人気のテーマが、上質・本物でありながら個性的に編集され、日本文化との「出会いの場」になっています。

実際の運営の中で、特徴的な購買行動が生まれています。宿泊客が滞在中に複数回ショップを訪れ、気になる商品を見定めた上で、チェックアウト当日にまとめて購入するケースが多く見られます。インバウンド用にオリジナルデザインした「黒羽織」(3.5〜4万円)をはじめとした高額商品が売れ筋となっており、一会計あたりの金額が通常の観光地の土産物店とは異なる水準になっています。

接客の面でも、通常の小売とは異なる体験が生まれています。スタッフが「箸置き」の文化的な意味や日本の日常の所作について説明すると、ゲストが強い関心を示し、翌日また来店するという反応が見られます。書籍やインターネットでは得られない、店舗スタッフとの対話を通じた文化との出会いが、ショップへの再来店や長時間滞在につながっています。

ホテルの館内空間を「戦略的資産」として再設計する

訪日インバウンドが質・量ともに過去最高水準にある現在、館内空間の設計はホテル経営において重要な検討事項となっています。**老朽化したテナント区画の見直しは、単なる設備改修にとどまらず、ゲスト満足度・口コミ・ブランド価値を通じて稼働率にも波及する経営上の意思決定**といえます。

Find My Japanでは、ヒルトン東京ベイでの導入実績をもとに、ホテルのインバウンドショップ立ち上げから運営支援まで一気通貫でご対応しています。商品の仕入れ・選定から空間デザイン、棚の整備、現場スタッフへのサポートまで、ホテルごとの状況に合わせてご提案いたします。導入に向けたご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

この記事は三喜商事株式会社が提供するコンテンツです。

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